はじめに
2025年4月1日(米国時間)にAWSからAWS MCP Serversがオープンソースで公開されました。
公開されたMCPサーバは以下の9つになります。
- Core MCP Server
- AWS Documentation MCP Server
- Amazon Bedrock Knowledge Bases Retrieval MCP Server
- AWS CDK MCP Server
- Cost Analysis MCP Server
- Amazon Nova Canvas MCP Server
- AWS Diagram MCP Server
- AWS Lambda MCP Server
- AWS Terraform MCP Server
個人的にAWS公式ドキュメントの検索を行ってくれるAWS Documentation MCP Server
が気になりました。
従来、AIアシスタント単体では最新の出来事に対応できない(たとえばClaude 3.7 Sonnetは2024年11月までのデータに対応)という制限がありましたが、このMCPサーバを利用することで最新の情報にアクセスできるようになりました。
本記事では公開されたMCPサーバの1つであるAWS Documentation MCP Serverを、Anthropicが提供するローカル実行型のAIクライアントであるClaude Desktopと連携し、こちらからの質問に対してAWS公式ドキュメントから探してきた情報を元に回答してもらうまでの流れを実施します。
MCPとは
手を動かす前にMCPについて簡単にご説明します。
MCP(Model Context Protocol)とは、Anthropic社が提案するAIアシスタントが外部システムと連携するための標準プロトコルです。
昨年11月にAnthropic社がMCPの紹介記事を公開しています。
これまでAIアシスタントを外部システムに連携させるにはそれぞれ個別のAPI統合が必要でしたが、MCPの登場によって外部接続が標準化されたことで、開発者はより簡単にさまざまなリソースやサービスをAIと連携させることが可能となりました。
Claude Desktopとの連携
それでは実際にAWS Documentation MCP ServerとClaude Desktopを連携します。
今回の手順はClaude Desktopインストール済みのMac OSで実施します。
uvのインストール
AWS MCP Serversの公式手順では、依存関係のインストールや仮想環境の構築にuv
が使用されているため、uv
のインストールが必要になります。
ターミナルを開き、以下のコマンドを実行します。
% curl -Ls https://astral.sh/uv/install.sh | sh
設定ファイルを編集
uv
のインストールが完了したらClaude Desktopを開き、「設定」→「開発者」→「構成を編集」をクリックします。
claude_desktop_config.json
に以下を追加して保存します。
{ "mcpServers": { "awslabs.aws-documentation-mcp-server": { "command": "/Users/<ユーザー名>/.local/bin/uvx", "args": ["awslabs.aws-documentation-mcp-server@latest"], "env": { "FASTMCP_LOG_LEVEL": "ERROR" }, "disabled": false, "autoApprove": [] } } }
※<ユーザー名>にはインストールを実行したローカルユーザー名を入力してください。
※uvx
はuv
によって提供される仮想環境実行用のCLIで、uv
と一緒にインストールされます。
Claude Desktopの再起動
Claude Desktopを再起動し、画像の赤枠のアイコンが追加されていたら完了です。
動作確認
準備が整ったので実際に使ってみます。
2025年4月11日にEC2のI4gインスタンスが南米 (サンパウロ) リージョンで使用可能になったことについて聞いてみます。
念のため情報ソースのURLも提示してもらうようにしました。
Amazon EC2 I4g インスタンスは南米 (サンパウロ) リージョンで使用可能でしょうか。 回答作成にあたり、参照したAWS公式ドキュメントのURLも提示してください。
公式ドキュメントを調べてくれています。
2~3分程度待つと回答が出力されました。
南米(サンパウロ)リージョン(sa-east-1)の情報が見つかりました。 この情報をもとに、ご質問に回答いたします。 ドキュメントによると、Amazon EC2 I4g インスタンスは南米(サンパウロ)リージョン(sa-east-1)で利用可能です。 South America (São Paulo) — sa-east-1 のインスタンスリストにある「Storage Optimized」カテゴリに I4g が含まれていることが確認できました: * **Storage Optimized:** I3 | I3en | I4g | I4i したがって、EC2 I4g インスタンスは南米(サンパウロ)リージョンで使用可能です。 AWS の公式ドキュメントによって確認されています。 参照したAWS公式ドキュメントのURL: https://docs.aws.amazon.com/ec2/latest/instancetypes/ec2-instance-regions.html
しっかりと正しい回答を返してくれました。
公式ドキュメントから情報を直接取得して回答してくれると、やはり安心感があります。
まとめ
本記事ではClaude DesktopからAWS Documentation MCP Serverを使用してみました。
今回はインスタンスの使用可否を聞くだけの簡単な質問で試しましたが、複雑な構成の検討やベストプラクティスの確認をする際はより活躍してくれるのではないかと思います。