本稿では、AWS初心者向けAWS解説シリーズとして、
Amazon Web Services(アマゾン ウェブ サービス、略称:AWS) という
クラウドコンピューティングサービスとは何かを説明します。
クラウドコンピューティングサービスとオンプレミス
まずは、クラウドコンピューティングサービスが登場する前に一般的だった、オンプレミスについて説明します。
オンプレミスとは、インターネットへ出るためのネットワーク設備やサーバーを自社の建物の中や契約したデータセンター(以下DC)などにサーバー機器を設置して利用している環境のことです。
オンプレミスの特徴として、利用する目的によって予算の許す範囲で自由に設計・運用できますが、
弱い点として機器調達に時間がかかることと、初期費用が高くなりがちであることがあります。
クラウドコンピューティングサービスとは、コンピューティングサービスに必要な機能がインターネット上のサーバーで提供されているサービスのことです。
クラウドコンピューティングサービスの特徴として、機器調達はクラウドベンダーが用意した環境に構築するため不要であることと、
従量課金制が採用されているため、初期費用を抑えられることがあります。
クラウドベンダーが用意した環境内にて提供される機能には、
サーバー、ストレージ、データベース、アプリケーションを単体で提供するものが主にあります。
クラウドコンピューティング、クラウドコンピューティングサービス、クラウドサービス、クラウドなど、
呼び方が複数あるので混乱しやすいですが、指し示すものは一緒です。
クラウドとオンプレミス両方の特性を活かすために、 この機能はクラウドコンピューティングサービスで構築、この機能はオンプレミスで構築というように、 同じシステムないでも、複数の環境を共存させるシステム構成にすることがあります。 このような構成をハイブリッドクラウドといいます。
このクラウドコンピューティングサービスとオンプレミスという単語を念頭に置いて、
AWSで提供されているサービス内容を見ていきましょう。
世界から評価されるAWS
AWSは世界的に有名な市場調査企業であるCanalysの2022年11月現在の最新調査結果でも
クラウドコンピューティングサービスシェアの31%を占める世界シェアNo.1のサービスになります。
https://www.canalys.com/newsroom/global-cloud-services-Q2-2022
Canalys提供2022年第2四半期時点のグローバルにおけるクラウドシェアの割合
世界シェアNo.1を取得しているAWSですが、No.1として支持されている一端として
どの様なサービスが提供されているのかを紹介します。
AWSで提供されているサービス
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/
この公式ドキュメントに書かれているすべてがAWS提供するサービス内容になります。
とてつもない数が有り、AWS公式からも日々このサービスが更新されていることがアナウンスされています。
その中でもよく使われるサービスは以下になります。
サービス名 | 機能 |
---|---|
VPC | Amazon Virtual Private Cloud (Amazon VPC)はネットワークとセキュリティ機能の提供になります。 |
EC2 | Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)はサーバー機能の提供になります。 |
S3 | Amazon Simple Storage Service (Amazon S3)はストレージ機能の提供になります。 |
RDS | Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) はデータベース機能の提供になります。 |
Lambda | AWS Lambdaはアプリケーション機能の提供になります。 |
IAM | AWS Identity and Access Management (IAM) はアクセス制御機能の提供になります。 |
Cloudwatch | Amazon CloudWatchはモニタリング機能の提供になります。 |
SQS | Amazon Simple Queue Service (Amazon SQS) はメッセージキューイング機能の提供になります。 |
SNS | Amazon Simple Notification Service(Amazon SNS)はメッセージ配信制御機能の提供になります。 |
この他にも200以上のサービスが存在し、ユーザーが求めるサービスによってユーザー自身で選択する事ができます。
AWSを利用して便利だと感じたポイント
ここからはAWSを利用していて私自身が便利だと感じたポイントをご紹介します。
AWSサービスの便利なポイント:見積ツールが公式から提供されている
設計や構築するにあたって必ずついてくるのが、費用の計算すなわち見積です。
通常プロジェクト(以下PJ)が立ち上げられると、オンプレミスの案件であれば、
その担当者からベンダーや機器を販売する業者に見積依頼をして、ある程度の期間を待たないと見積取得とはいきません。
AWSでは、利用するAWSの費用を担当者自身で公式提供のツールから算出することが可能です。
https://calculator.aws/#/
AWS公式が提供する見積ツール(日本語対応しています)
見積ツールを使えば、
見積→修正→再見積
といったどうしても期間がかかる部分を担当者自身で修正して再見積もりする期間を短縮できます。
AWSサービスの便利なポイント:責任共有モデルがある
責任共有モデル 聞きなれない単語ですが、AWSとAWSを利用するユーザー間で、ハードウェア・ソフトウェアの責任を
AWSがここまでは持ちますという境界線を可視化してくれたものになります。
この責任共有モデル があることでユーザ側に良いポイントを以下に記載します。
- AWSが提供している範囲が直感的にわかる
- AWSのサポートを受ける時にどう説明して良いかの手助けになる
上記の一例として、
AWSのハードウェア障害が発生しているときにAWSの責任共有モデルを参照し、
AWSサポートに問い合わせることでAWSの責任範囲について把握した上で、
AWSサポートへ適切な問い合わせができて、スムーズに問題解決ができたことがあります。
https://aws.amazon.com/jp/compliance/shared-responsibility-model/
AWS公式責任共有モデルのリンク
終わりに
今回は、AWSとは何かについて取り上げました。
次回は、提供される機能の中でもよりポピュラーな
Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)について掘り下げて解説します。