はじめに
本稿は、AWSが提供しているストレージサービスについて触れていきます。
ストレージとは
ファイルやデータを保存しておく場所のことを指します。 データの取り扱い単位によって、 「オブジェクトストレージ」「ファイルストレージ」「ブロックストレージ」と呼び方が変わります。
オブジェクトストレージ: データやファイルをオブジェクトと呼ばれる単位で扱います。 オブジェクトの管理用にユニークなIDをオブジェクトに付け、 データの作成者や作成日付といった属性情報(メタデータ)も付けることが可能です。 安価に大きなデータを保存することを主目的に展開されているクラウドサービスが多いので、 更新頻度の少ない大きなデータを保存できることが特徴です。
ファイルストレージ: ファイルをファイルそのままの単位で扱います。 特徴として、ネットワーク経由でファイルを格納する機構(NFS)で動作しているため、 複数のホストで同時にマウントすることも可能なストレージです。
ブロックストレージ: データやファイルをデータブロックと呼ばれる単位で扱います。 ブロックストレージは、ストレージ内部をボリュームと呼ばれる単位で分割して、 さらにデータやファイルを同じサイズのブロックに分割して保存します。 そこへ管理用のユニークなIDをボリュームとデータブロックに付けることでデータの管理を するストレージです。 このボリュームとデータブロックのIDを使ってデータ効率が一番良い形で考えて配置してくれることが このストレージの特徴です。 データ効率は3つのストレージの中でもっとも高いですが、 ストレージエリアネットワーク (SAN)と呼ばれる専門性の高い準備が必要になるため、 高価になります。
AWS内のストレージサービス提供形態は
以下の三種類が代表的な提供形態になります。
Amazon S3:Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) 前項のオブジェクトストレージにあたるサービスです。 従量課金なので、利用した分だけ支払う形で利用できます。 容量についても無制限で利用できて、 冗長化もAWSが所有する複数のデータセンターへ自動で行ってくれます。 データ耐久性においても99,999999999%保障するなど、 S3単体でも簡単に利用できます。
https://aws.amazon.com/jp/s3/
<公式:Amazon S3>
主な利用方法としては、
- ログデータの保存先
- BCP対策用のバックアップ保存
- データの長期アーカイブ
等があります。
AWSマネージメントコンソールでの操作は必要になりますが、
- 自動的にオブジェクトの削除や利用料金の安価な オブジェクトストレージへのオブジェクト移動を設定できるライフサイクル
- 設定したポイントへのバージョニング
- S3単体でのHTTPSでの静的コンテンツの配信
- (サービスポリシーやACLを使った)アクセス管理機能
- データの暗号化
といった機能があり、ここに記述しきれないほど多機能なため、 一度は直接触って確認することをオススメします。
Amazon EFS:Amazon Elastic File System 前項ファイルストレージにあたるサービスです。 EFSでは、標準ストレージクラスと低頻度アクセスストレージクラスが提供されています。 使用頻度によってより効率的に低価格で利用できます。 本来NFSの仕組みは、NFSサーバを立てて、そのサーバ上に作られたディレクトリを NFSサーバに認証されたクライアントがマウントすることで利用できます。 Amazon EFSはNFSの仕組みをAWSが準備してくれているため、 ユーザはNFSクライアントの立場で、どうAmazon EFSを使うかだけ 決めて使うことができます。
https://aws.amazon.com/jp/efs/
<公式:Amazon EFS>
Amazon EBS:Amazon Elastic Block Store 前項ブロックストレージにあたるサービスです。 以前ご紹介したEC2に アタッチして使うストレージです。
https://aws.amazon.com/jp/ebs/
<公式:Amazon EBS>
主な特徴として、
- 自動的に暗号化をしてくれる(セキュリティが最初から高い)
- EBSスナップショットを利用することで、定期バックアップを簡単に取得できる
- 性能とコストと相談しながら4種類の利用形態の中から選択することができる
この3点があります。 EBSは、オンプレミスでは導入コストが高くなりがちな SANの仕組みをAWSが準備してくれているため、 ユーザはどう使いたいかを決めて使うことができます。 3点目にあげた利用形態は以下の4種類です。 IOPS:EBSへ1秒間に読込みと書込みができる回数のことです。
- 汎用SSD(gp3):3,000IOPSが保証されているEBS。汎用の名前の通り、良く選択される利用形態になります。
- プロビジョンドIOPS(io2):最大64,000IOPSものデータを読み書きすることができる高性能なEBSです。 高性能ですが、汎用SSDよりコストが高くなります。EC2でデータベースを使わないといけない場合などに選ばれます。
- スループット最適化HDD(st1):500IOPSが保証されているEBS。性能がひかえ目な分コストが安く設定されています。
- コールドHDD(sc1):250IOPSが保証されているEBS。処理時間を気にしなくて良い大きなデータを、 コストをかけずに処理したい時に選択される利用形態になります。
終わりに
ストレージサービスを3種類にしぼってご紹介しましたが、AWSが提供するストレージは ストレージ単体の機能や信頼性がどれも高いです。 どのストレージを選択しても、かゆい所に手が届く設計がされていて、 知れば知るほど使いがっても広がるので、ぜひ一度触れてみてください。